大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)1369 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人片山通夫の上告趣意第一点について。

論旨は、控訴趣意として主張された五つの点について原判決が判断を与えなかつ

たということを前提として原判決は憲法三二条、三七条に違反すると主張する。し

かし原判決はこれ等の論点に対して綜合的に判断を下し、被告人は「物品税逋脱の

意思を以て右一連の行為に出たのであるから個々の行為を切離して部分的の観察を

為すべきものではなく相関連するものとして考察しその所為は正に物品税法第一八

条第一項にいわゆる不正の行為に依り物品税を逋脱したものに該当するといわなけ

ればならぬ」と判示している(そしてこの判断は正当である)。してみれば所論の

各点に判断が無かつたということを前提とする違憲の主張はおのずからその根拠を

失い理由がない。

同第二点について。

論旨は、原判決が憲法三〇条及び三一条に違反すると主張するけれども、要する

に原審が第一審判決中判示(二)の事実について物品税法一八条一項(昭和二四年

一二月法律二八六号による改正前の)にいわゆる「詐偽其ノ他不正ノ行為ニ依リ物

品税ヲ……逋脱セントシタル者」に該当すると解したことを非難するに帰する。し

かし原判決の確定した事実によれば、被告人は昭和二四年三月一日より同月三〇日

までに自己製造にかゝる飴を合計七、三二三斤移出したのにかゝわらず、翌四月一

一日に右期間中の移出高は二〇〇斤であるとの物品税申告書を発送し同月一六日海

南税務署にこれを到達させたが、これより前の同月一四日に被告人は検挙せられて

右の不正事実は発覚していたというのである。即ち被告人は移出製品の数量等を過

少に記載し、ことさらに残余の数量価額等を秘匿した内容虚偽の申告書を提出し、

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もつて正当の税金の納付を過少ならしめて、その不足税額を免れようとしたが、こ

れを果さなかつたというのであるから、右の行為を物品税法一八条一項に問擬した

原審の判断は正当というべきである(昭和二六年(あ)一六三二号、同二八年三月

三日第三小法廷決定参照)。論旨は理由がない。

同第三点について。

論旨は原判決が憲法三二条に違反すると攻撃するけれども、要するに事実誤認の

主張であるから、適法の上告理由たりえない。

同第四点について。

論旨は憲法一一条、一二条違反を主張するけれども、実質は事実審の裁量に属す

る証拠の証明力を争うものであるから適法の上告理由とならない。

同第五点について。

第一審判決摘示第一の事実を挙示の各証拠に照らし合わせてみれば、被告人が不

正の行為に依り物品税を逋脱したものであることが明らかである。それ故原判決が

これを物品税法一八条一項に該当するものとしたのは正当である。論旨は被告人の

右の所為が物品税法一八条一項にあたらないことを前提として、原判決の憲法三一

条違反を主張するものであるから、その前提を欠き理由がない。

同第六点について。

論旨は漠然と憲法三一条乃至四〇条違反を主張するけれども、要するに事実の誤

認を主張し、証拠の証明力を争うに帰するものであるから適法の上告理由たりえな

い。

弁護人加藤龍雄の上告趣意第一点について。

論旨は判例違反を主張するけれども、所論の判例は本件にいずれも適切ではない。

原判決の正当であることは、片山弁護人の上告趣意第一点、第二点及び第五点につ

いて説明したとおりである。

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同第二点について。

論旨は事実の誤認を主張するものであつて、適法の上告理由たりえない。

被告人本人の上告趣意について。

論旨は事実の誤認を主張するものであつて、適法の上告理由たりえない。

よつて刑訴四一四条、三九六条に従い主文のとおり判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

裁判官井上登は退官のため評議に関与しない。

この公判には検察官大津民蔵が出席した。

昭和三一年三月二〇日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 河 村 又 介

裁判官 島 保

裁判官 本 村 善 太 郎

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